2012年3月30日金曜日

田舎 初めての夜

物件引き渡しの当日、お隣さんと軽くおしゃべりをし、まだ日中の明るいうちに家の掃除を一部済ませ、夕方日が暮れ始める頃から必要なものを買い出しに行く事になりました。
 
11月の中旬で、日もどんどん短くなっていたので、5時を過ぎたらもうあたりはずいぶん暗くなりかけていて、家から15分ほどのところにあるスーパーから帰ってくる時にはもう真っ暗になっておりました。
 
こっちへ来てまず何に驚いたかって、田舎の夜の暗さに相当びっくりしました。
そもそも街灯が極端に少ない。車を走らせていると、道の両側が真っ暗で、何があるのか全く見えない。田んぼなのか道があるのかはたまた大海原でもあるのか、とにかく真っ暗で全然見えなくて、遥遠くの方に民家の灯りのようなものがぽつりぽつりと見えると、「あぁ、あそこに家があるんだな」と思うくらいで、でもそこへたどり着くまでの街灯もないから道もどう走ってるのかわからない。
今まで都会に住んでいて、夜が「暗いて恐い」なんて思った事がなかったので、いかに都会の夜が灯りをギンギンに照らして明るくしているのか思い知らされました。
 
しかし正直、夜でも賑やかな都会に慣れていた私達は、この真っ暗な世界とその中での静寂に、初日は相当ビビり上がりました。家は奥まったところにあるので車も殆ど通らず、夜ご飯に軽く総菜を食べ、風呂を掃除して入って布団を敷いてテレビと電気を消したら、本当に、「しーーーーん」という音が存在しているかのような無音状態に最初なかなか寝付けられませんでした。
(今ではもうすっかり慣れて、たまに都会に泊まるとちょっとした車の往来の音にも「うるさいなー」と、逆に眠れなくなりましたが。。)
 
次の日は一旦横浜に戻り、本格的な引っ越し作業に取りかかる準備に追われる毎日となっていくのでした。

2012年3月14日水曜日

となりのおばちゃん

契約、物件代金の支払い、そしてカギの引き渡し、と、全ての手続きを終えて、晴れて私達のものとなったこの家に、自分たちでカギを開け、中に入り、カーテンと窓を開けて少し空気の入れ替えをし、荷物の一部を運び入れてホッと一息していると、玄関の引き戸がガラッと開いた音がし、そこにお隣のおばちゃんが立っていました。
 
このおばちゃんは、この日の午前中にみんなで物件の敷地内に集まった際、その場に居合わせていて、売り主の奥様が、「お隣のおばちゃん。とってもお世話になったんですよ。とても面倒見の良い方だから、色々教えてくれると思います。」と、ちらっと紹介して下さっておりました。
 
そして、玄関での開口一番、「あそこに置いてある木、早くどこさかへ持ってってもらわねぇと虫がわいてくっから困んだよ。」と、バリバリの地元訛と真顔で、ポカントしている私達に話しかけて来ました。
その唐突さ、遠慮のない態度、地元の強い訛の混じった有無を言わさない口調、そしてにこりともせず怒ったような真顔。午前中に紹介されていたとはいえ、都会では初対面の人に向かってはありえないあまりに衝撃的な最初の接触にどう応えて良いのやらわからない私達は、「は、はぁ。。。」というのが精一杯でした。
 
おばちゃんの言うその「木」が、一体何のことらやわからなかった私達は、一瞬の間を置いてはっと我に返り、「その『木』って、何の木ですか?」と聞き返す事が出来ました。
おばちゃん曰く、つい最近の台風で敷地内の大きな木が一本倒れて電線に引っかかったのを、前の売り主さんが切ってそのまま敷地内の、おばちゃんの家に近い方に放置したままなので、そのままにしているとシロアリの巣になって自分の家にも被害が広がっちゃうから、ということでした。
 
なるほど、それでは早速、仲介に入った地元不動産会社の社長にその件は頼みましょう、という話をし、それから、この強烈なお隣さんと庭で暫く立ち話をすることになるのでした。
 
実はこれよりずいぶん前に、「ご近所さんはどういう方がお住まいですか」と不動産会社に尋ねたところ、「右隣はおばあさんが一人で住んでるらしいですよ」と聞いていたので、腰が曲がって足も不自由で家から殆ど出歩かないようなおばあさんの姿を勝手に想像していたのですが、いえいえこの方、お顔はまあそれなりに年輪を重ねた感じではあるけれど、身体の芯が若い、というか、足腰丈夫、声も張りがあってデカイ、とても私達が想像していたような弱々しい一人暮らしのよぼよぼしたお年寄りとはかけ離れておりました。
 
話しているうちに、このおばちゃん、元々潮来の出身で、結婚してここへ越して来て50年以上この土地に住んでらっしゃるそうで、東京の売り主さんが越してくる以前の、そもそもの持ち主さんの事も良く知っていて、家の事、敷地の事、全て誰よりも詳しい人のようでした。
 
おばちゃんには息子さんが二人いるがそれぞれ独立して遠くに住んでおり、ご主人は数年前に突然亡くなられ、それ以降犬と猫と暮らしているそうで、一見とても気丈な方のようでしたが、やはり一人でいるのは何かと心細く寂しいとおっしゃってました。 
 
で、「私達の」庭の敷地内にある「私達の」庭木の枝を勝手に手でボキッと折りながら、「この木なんてこんなとこに植えててもしょーもねぇんだよ」と吐き捨てるように言い、枝をポイッと捨てながら、「でも、おらぁ、あんたがたがここにずっと住むって聞いて、嬉しくてしょうがねぇんだよ」と、本当に嬉しそうに笑った姿を見た時は、この強烈な出会いに一瞬かなり引いた私達でしたが、「歓迎されてる」ということがわかり、取りあえずほっとしたのでした。
 
ともあれ、お隣のおばちゃんはかなり強烈な方のようだが、右も左もわからない田舎暮らし初心者の私達にとっては強い見方になってくれそうだね、ということで、その日は軽く、食料やら日用品やら必要なものを買い出しに出かけたのでした。

2012年3月2日金曜日

契約そして引き渡し

銀行から無事お金を借りられるという事になって、早速その結果を不動産会社に報告。そして契約と物件引き渡しの日取りを決める事になりました。
一応大安カレンダーでお日柄の良さげな日を選び、それが2009年11月の半ばだったと思います。
 
そして、ローンの引き落としが始まるのが12月末から、との事で、引き落とし口座を作りにまたまた物件近くの地元の銀行の支店に伺ったり、当時借りていた賃貸物件と家賃がダブらないようにすぐに退去の連絡を入れたり、引っ越しの日取りや引っ越し業者を決めたり、引っ越しに関わる一連の変更手続きを一つ一つ済ませたり、なんやらかんやらで今となってはあまり良く覚えていないのですが、毎日結構大変だった記憶だけはあります。
  
そして膨大な量の契約書のコピーが不動産会社から送られて来、「契約日当日、これを読み上げなければいけないのでそちらでも目を通しておいて下さい」とのことで、多忙なスケジュールの中、不慣れな契約書を熟読し、不明点や疑問点を前もってピックアップしたりしておりました。
  
で、お日柄も良い11月の中旬のある晴れた日の午前中、晴れて契約日を迎える事となりました。不動産会社責任者立ち会いのもと、物件近くの別不動産会社に売り主買い主が揃い、契約書の全てが読まれ解説され、沢山ある書類に間違わないように慎重に署名捺印するという作業に約2時間程を要したでしょうか。
 
その後、先に口座開設した銀行支店に移動して、手付金以外の残金を売り主さん側に支払い、家のカギなどをいただいて、晴れて正式にその日からその物件はついに私達のものとなったのでした。